毎年、真夏になると、熱中症になり救急車で病院に搬送される方が増えてきます。
熱中症とは、高温多湿な場所にいることで引き起こされる様々な症状の総称です。
暑かったり湿度が高いという環境にいることで、私たちの体は、水分や塩分のバランスが崩れてしまったり、体温を一定に保つ機能が正常に働かなくなったりしてしまうのです。
熱中症にかかると軽度なものから重度なものまで色々な症状が出てきます。
重症の熱中症の場合、命にさえ関わります。
気をつけないといけませんね。
夏は、花火大会・夏休み・キャンプ・高校野球など、レジャーもスポーツもいっぱい楽しめる季節です。
熱中症にかからずに夏を楽しく過ごすためにも、その症状や対策をしっかりと知っておきましょう。
熱中症の症状は?
熱中症はその症状によって4つに分類されています。
・熱失神
熱中症の初期症状。
暑さで、血管が拡がることによって、血圧が低下します。
その結果、脳に送られる血液が減少することで、めまい・一時的な失神・顔面が蒼白になるなどの症状がでます。
・熱けいれん
たくさんの汗をかいているのに、水だけを摂取し、血液中の塩分(ナトリウム)濃度が下がった時に筋肉の痛みが出て、手足の筋肉がつったり硬くなったり、痙攣(けいれん)したりという症状が起こります。
・熱疲労
大量の汗をかき、水分の補給が追い付かないときに体が脱水状態になり、
全身に倦怠感・頭痛・吐き気・おう吐するという症状が出ます。
集中力や判断力が鈍くなります。
・熱射病
体温が上がりすぎ、意識障害が起こります。
ふらつき、言動がおかしくなってきます。
呼びかけても反応が鈍かったり、意識がなくなっている場合もあります。
熱中症対策は?
どうすれば熱中症にならないかという予防法をみてみましょう。
屋外では
・暑い日は外出を控える。
・できるだけ日陰の場所を選んで歩く。
・暑い場所に長時間とどまらない。
・暑い、疲れたと感じたら日陰で休憩をする。
室内では
・外部の熱が室内に入らないように遮断する。
・窓からの太陽光線をダイレクトに侵入させない。
・風通しを良くする。
・エアコンや扇風機などを利用する。
服装は
・吸汗性・通気性の良い服装を利用する。
・外出時は熱を吸収する黒系統の服装を避ける。
・ゆったりとした衣類を利用する。
・日傘や帽子を使用する。
水分補給は
・こまめに水分を摂る。
・喉の渇きを覚える前に水分を補給する。
・アルコール飲料は水分の補給にはならない。
・大量に汗をかいた時は塩分も補給する。
高齢者・子供は
体の温度調節の機能が落ちている高齢者と、まだ温度調節の機能の発達が十分でない子供は、
熱中症にかかりやすいので特に注意しましょう。
高齢者は体の水分が若い時よりも少なくなっていますし、暑さや喉の渇きなども感じにくくなっています。
部屋の温度を常に確認し、暑さを感じなくても、エアコンなどをつけて温度調節をこまめに行ないましょう。
また、喉の渇きを感じなくても、水分補給をこまめにしてください。
身長の低い子供は、地面からの照り返しの影響で体温が上がりやすいです。
顔色や汗の出具合をしっかり確認して水分を与えたり、涼しい場所での休憩などに気を配ってあげてください。
熱中症の対処方法は?
熱中症が疑われたら、まずは涼しい場所に移動します。風通しの良い日陰や冷房の効いている部屋で休ませましょう。
着用している服をゆるめ、体の熱を発散させるようにします。
その上で、
熱失神・熱疲労の場合は
イオン飲料、経口補水液か、
0.1~0.2%の食塩水を飲ませます。
顔に血の気がないときは足を高くして寝かせます。
熱けいれんの場合は0.9%の食塩水(水1ℓに対して食塩9g)を飲ませます。
熱射病になってしまった場合は、緊急事態です。すぐに救急車を呼んでください。
救急車が来るまでの間、体に水をかけたり、濡れたタオルで体を冷やします。
首、わきの下、太ももの付け根など、大きな血管が通っている場所を冷やすのが効果的です。
誤った熱中症対策とは
「たくさんの水を飲めばよい!」というのは間違いです。
水を大量に飲むと血中の塩分濃度が低下してしまうために、かえってよくありません。
お茶をたくさん飲むのもNGです。お茶には利尿作用があり、トイレが近くなり脱水症状を誘発します。
水分補給をするのなら、塩分なども含んだスポーツドリンクを水で薄めて飲むのが良いでしょう。
「太陽に当たっていないので大丈夫!」これも違います。
太陽光線の降り注ぐ戸外に出ていないので、熱中症の心配はないと思われる方もいるかもしれませんが、じつは室内でも多くの方が熱中症にかかります。
高温多湿であれば、室内で静かにしていても屋外と同じように熱中症になる可能性があります。エアコンや扇風機を使って温度と湿度を適切に調整し、水分補給もこまめに行なってください。
特に高齢な方は暑さを感じにくくなっていますので、注意しましょう。
「汗はこまめに拭いた方がよい!」いいえ、汗には拭き方があるのですね。
人は汗をかくことで体温の上昇を抑えようとします。
汗をすぐに拭いてしまうと体温を自然に下げる働きを妨げてしまい、より多くの汗が出てきます。
汗を拭くときにはおしぼりなどのように固く絞った濡れタオルなどを利用して、肌に水分を残すようにしましょう。
肌に残った水分が汗の代わりに蒸発し、体温を下げてくれます。
「冷たい飲み物を飲む!」うーん。飲みたいのですが、気を付けなければなりません。
暑い時期、よく冷えた飲み物は喉にとても気持ちいいものです。
何より美味しいです。
ですが、たくさんの冷たい飲み物で体を冷やすのは、熱中症対策の観点からは間違っています。
冷たい飲み物を飲むと、体は、体温が下がったと誤認識をし、汗が出なくなります。
実際は暑いのに体温が下げられず、熱中症になりやすくなってしまいます。
いくら暑くても、水分を補うためには常温の飲み物が一番適しています。
「屋外では半袖で過ごす!」これも気を付けてください。
夏の外出は半袖の服装をすることが多いと思います。
実はこれも、熱中症の危険があります。直射日光のもとで肌を露出すると紫外線をもろに浴びてしまいます。
通気性の良い長袖の服装を使用する方が熱中症の対策としてはおススメです。
汗をかいて体温が下がりやすくなるからです。
どうしても半袖や、肌の露出の多い服装をするときは、日傘をさすなど、直射日光をストレートに浴びない工夫をしましょう。
まとめ
熱中症は誰でもかかる危険性がありますが、少しの注意で防ぐことができます。
★暑い場所で長時間過ごさないこと。
★喉の渇きを感じなくても、水分はこまめに摂る。
★大量に汗をかいた時は塩分も補給。
(スポーツドリンクなどが最適です)
★直射日光を避けること。
★室内は涼しくする。
★服装は通気性の良い、麻や綿を選ぶ。
★睡眠をしっかりとる。
(夜、あまり眠れなかった場合は、お昼寝を取り入れる)
★バランスの良い食事を心がける。
(暑いと、さっぱりしたものばかり食べてしまい、栄養が偏りがちになってしまいます)
★高齢者・子供は、体温調節が十分にできないことがあるので特に注意をする。
暑い季節は、暑いというだけで体には負担がかかっています。
まず無理をしないということが大切です。
夏は魅力あふれる季節です。
入道雲、団扇(うちわ)、風鈴、海の家、アサガオ、プール、麦わら帽子、金魚、高校野球、花火大会、スイカ、冷やし中華・・・
熱中症にかからないよう気をつけて、夏の風物詩をたっぷり楽しみたいですね。