夏休み定番の宿題といえば、読書感想文。
もしかして、書けなくてどうしようかと困っていませんか?
「大体何を書けばよいのか分からない!」
「本を読むのが面倒だ!」
「原稿用紙に何枚も書ける気がしない!」
そんな風に思っているかもしれませんね。
読書感想文というと、つい難しく考えてしまいがちですが、
実際はそんなに難しいものではありません。
本を読んで感じたことを素直に書けばいいんです。
とは言っても、漠然としていますよね。
読書感想文をスラスラ書くには実はコツがあります。
そして、書き方も色々な方法があるのですが、ここではとても楽に書ける方法をお教えします。
まず、読書感想文は、4つのパートに分けて書くと書きやすいです。
4つのパートというのは
・その本を選んだ理由について
・本のあらすじ
・心に響いた部分の感想
・全体的な感想・まとめ
というもの。
◆なぜ、その本を選んだのか?
読書感想文を書くには、最初に本を選ばなければなりません。
読んでみたい本、過去に読もうと思った本、誰かに勧められた本、
気になっている本などを思い出し、その中から今興味を持って読めそうなものを探してください。
以前読んで感動したものでも大丈夫ですよ。
読みたい本が思いつかないときは、友だちや身内の方に推薦してもらうのもいいですね。
読む本が決まったら、
なぜ、その本を読むことにしたのか、きっかけになったことを書きましょう。
友だちに面白い本があるからと紹介されたとか、
テレビで話題になっていたからとか、ということですね。
その本の映画版を観て感動したので原作も読んでみたくなったということでもよいでしょう。
ただ、読むきっかけとなったことから、実際に読み始めて自分の心がどう変化し始めたかを少し書くと、
感想文としては、かなり良い滑り出しになります。
例文)
さだまさし『風に立つライオン』は、最初、DVDで観ました。
主演俳優が企画をし、何年もかかってようやく完成した映画ということで、雑誌などでも話題になっていたので、 大いに期待してDVDで観たのですが、予想に反してそれほど感動できませんでした。
「これは作品が悪いわけじゃない、きっと映画化には無理があるのかも」と思いました。それで原作を読み始めたのです。
さすがに本の方が細かく描写されていて、分かりやすかったです。すでに良い内容だと知っていたので、 読み飛ばしてはもったいないという気持ちもあり、ゆっくり噛みしめるように読んでいきました。
途中で何度も目頭が熱くなりました。
◆その本のあらすじ
その本について全く何も知らない人にも、その物語がどんなあらすじなのか、
簡単なストーリーが分かるように説明するつもりで書きましょう。
例文)
アフリカ医療に情熱を捧げた医師・シュバイツァーの伝記に影響を受けて医者になった航一郎は プロポーズまでした恋人を日本に残したまま、ケニアの戦傷病院で働いていた。
ある日、負傷し、心を閉ざした少年兵ンドゥングと出会う。航一郎は、想像をはるかに超えたアフリカの厳しい現実を知り、 より強く、人々の役に立ちたいと願う。
◆どの部分がどう心に響いたのか?
本をしっかり読みながら、線を引いたりメモしたりして、気になった部分、心に響いた箇所を抜き出しておきましょう。
読書感想文を書くには必須の作業です。抜き出した個所に対して、自分の感じたことを掘り下げて述べることが出来たら、 きっと良い感想文になります。
例文)
航一郎がいる病院には1日に数十人もの怪我人が運び込まれてくる。その中には身寄りのいない子供たちも含まれている。
医師たちは、多過ぎる患者たちにきりきり舞いさせられながらも次々に適切な処置をし、生命を救っていく。
多くの子供たちは怪我だけではなく、心も傷ついていた。
ンドゥングはある日、「こんな自分でも医者になれるか?」と航一郎に問う。
航一郎は、「もちろん、なれるよ」と答える。
ンドゥングは自分の過去の罪を深く悔いている。
でも、医者にもなりたくなった。
航一郎は「お前の犯した罪以上に人々を救えばいいのだ」とンドゥングに希望のある言葉をかける。
罪のある行動をとってしまった人間でも、その罪を悔いて償なう心があれば自分を変えていくことは出来る。
そして、許される。そう思いました。またそうでなければ、人間は救われない。
さらに、航一郎は「医者が患者から奪ってはいけないもっとも大切なものは命じゃない。希望なんだ」とも言っています。
たとえ治療の難しい疾患であっても、1%でも治る可能性があるのなら、「きっと治る!」と言ってあげるのが
本当の医師のとるべき態度だと感じました。
もちろん、これは医師だけの話ではありません。
全ての人間に希望は必要です。希望がないと人は本当の意味で生きていけないでしょう。
何かの理由で希望を失いかけている人、心が深く傷ついて希望を見いだせない人、
そんな人にも希望を与えられる行動をとれる人間になりたいと思いました。
◆全体的な感想・まとめ
その本を読んだことによってどんな心の変化があったのか?その本全体から何を感じ取ったのか、どんなことを考えさせられたのかを書くのがよいでしょう。
例文)
この物語では、
航一郎がケニアで救った少年ンドゥングは、やがて医者になり、東日本大震災後直後の石巻に来る。被災者たちの助けになろうとする志を持って。
そこで心を閉ざした子供「あつお」に出会うのですが、ンドゥングの温かい人間性に触れて、
震災のショックで言葉を発することも出来なくなっていた「あつお」が「ぼくは医者になれますか?」と尋ねる。
何ということでしょうか。
一人の人間の高い志が、周りの人間の痛みを和らげ、希望を与え、次々と連鎖反応を起こして人としての生き方を目覚めさせています。
人の行動、思い、情熱は伝わっていくものだと知りました。
この本を読むと、日本に住んで平和ボケしている自分の生き方に喝を入れられた気がします。
どんな過酷な環境の中でも人間は志高く生きていけるのですね。
人としての愛や善意、使命といったものを深く考えさせられました。
何か悩み事にぶつかって立ち往生している人には『風に立つライオン』を読んで欲しいです。
こんな感じで読書感想文は書くのはいかがでしょうか?
自分の興味の持てる本選べば、楽しく読めて、読書感想文も苦労しないで書けます。
作品『風に立つライオン』
風に立つライオン (幻冬舎文庫) [ さだまさし ] |
『風に立つライオン』は、まず最初にさだまさしさんが知人の医師をモデルに歌を作り、その後大沢たかおさんの熱望によって小説化され、 最後に映画(大沢たかお主演)が発表されました。
歌『風に立つライオン』を聞いて医学の道に進んだ方もいます。またも青年海外協力隊の隊員の方々や 医療従事者、医師の中には、この楽曲の影響を受けて、スーダンの地域医療に取り組むようになった方、 心ある医師を育てるためのNPO法人を作り、活動されている方も出てこられたのです。
すごい力を持った作品ですね。