さて、今回は「マタニティーブルー」と「産後うつ」の経験者のSさんに書いていただきました。(いつもの筆者の友人です)
マタニティーブルーは人によってはかなりつらいものです。
私がそうでした。
私は、2人の子どもがいる主婦です。
どちらの子供の時も、妊娠初期には、悪阻(つわり)が酷くて入院しなくてはならないレベルだと言われました。でも、入院はできませんでした。
「入院したら旦那さんはどうなる?家の事は?」などと考えて、家や家族が心配で入院を拒否してしまったのです。
そんな無理をしたせいか、安定期に入っても悪阻がしばらく続き、同時に「マタニティーブルー」の症状が出てきてしまいました。
これは、本当に自分でもどうにもならないくらい大変でした。
マタニティーブルーとは?産後うつとの違いは?
マタニティーブルーとは、妊娠中や産後にホルモンバランスが崩れることによって起きる軽いうつ的症状のことです。
眠れなくなったり、急に悲しくなって泣いてしまったり、精神面がすごく不安定になったりします。
「心が弱いからなる」なんていう方もいますが、そうではありません。
心ではなくて、脳からの指示で出産に備えて女性ホルモンが沢山出てくることが影響しています。自然なことなんですよ。
体は、黄体ホルモンのプロゲステロンの分泌を増やして、子宮を整えたり、流産防止をしてくれます。
女性ホルモンであるエストロゲンは子宮内大きくしたり、母乳を出す準備をしたりと女性ホルモンは大忙しなので、大量に分泌されます。
ホルモンバランスが大きく変化するのですね。この変化が自律神経に影響して精神的に不安定になったり体調がおかしくなったりするのです。
だから、「心が弱いから」なんて思わなくていいのです。
わたしも初めて妊娠した時は、すごく嬉しかったです。もちろん旦那さんも喜んでくれました。
でも、マタニティーブルーの症状が出ました。つわりが酷いくて、マイナス思考やネガティブ思考になり、イライラして周りに八つ当たりしたことがあります。
そうかと思えば、眠くて眠くてしょうがないし、調子が出なくて体が何だかだるいなぁ・・とか、急に悲しくなったりもしました。
旦那さんが仕事に行くと急に寂しくなり、一人で家の中で大泣きしたこともあります。もう、本当に精神的に不安定で、実家にしばらく帰ったこともありました。
切迫流産の可能性もあり「お腹の子は大丈夫?!!どうしよう!!私がこんな風だから、お腹の子がどうにかなったらどうしよう!!」などとヒステリックになった事もあります。
わたしは、うつ病を患ったことがあるため、自分のその時の症状を「うつ」だと思っていました。しかし、後から調べたら女性ホルモンの影響だと知りました。
世の中でこんな風になっているのは自分一人と感じていましたが、そうではないのですね。妊娠したからといって全員がマタニティーブルーになる訳ではありませんが、妊婦さんの半数は経験するそうです。自然なことなのです。だから一人で悩まないでくださいね。
マタニティーブルーは産後にもあります。
わたしの場合は、産後にマタニティーブルーを通り越して、「産後うつ」になってしまいました。
先ほども述べましたが、マタニティーブルーは、ホルモンのバランスが崩れることによって起こる症状で、ふつう産後数日~1か月で改善されますが、数か月たっても改善されなければ「産後うつ」です。
「産後うつ」は10人に1人はなると言われています。
マタニティーブルーは、一般的に1か月以内に回復する一過性の症状で、マタニティーブルーが悪化すると、数か月~1年以上も回復しない産後うつになってしまいます。
ですから、マタニティーブルーは自然に回復する一過性のものなので治療の必要がありませんが、産後うつになった場合は必ず治療してください。
子供が生後3か月の頃、わたしは子育てが不安過ぎて自信が無くなっていて、自分の母親やお姑さん、保健師さんなどにいろんな意見を聞きまくっていました。
書籍などでも、わからないことを調べて母親としてやるべきことを頑張っていました。それでも自分ができていないと思い、 余りにも追い詰められた結果、過食と嘔吐を繰り返し、とうとう母乳が出なくなってしまいました。
マタニティーブルーも産後うつも人により症状は様々です。
私の場合は本当に危険な状態まで行きました。
でも、たくさんの方に支えられたおかげで、マタニティーブルーと産後うつを乗り越えることができたのです。それは「対処法」でご紹介したいと思います。
マタニティーブルー・産後うつのチェックをしてみる
ここで、自身のマタニティーブルー・産後うつのチェックをしてみたいと思います。
このチェック項目は、うつ病の症状とほぼ同じだと思ってくれていいです。
2 落ち着かない
3 何をしていても集中できない
4 気分が乗らなくて何もする気が起きない
5 赤ちゃんが気になり、夜も眠れなくなる
6 ずっとだるい
7 食欲不振
8 何に対しても無関心
9 焦るけど何に焦っているか分からない
10 ネガティブ思考になる
11 運動をしなくなる
このチェック項目は筆者のマタニティーブルーと産後うつの体験を織り込んだものになります。
項目のチェックが多い方は、マタニティーブルー、もしくは産後うつの症状が出ている可能性があります。
だからと言って落ち込まないでください。
マタニティーブルーの対処法は
では、マタニティーブルーや産後うつの対処方法についてです。
初めに、どんな人がなりやすいか?環境と時期なども併せてご紹介したいと思います。
◆なりやすい時期としては、妊娠中安定期以外です。
妊娠初期 女性ホルモンが大量分泌されるのでなりやすいのです
妊娠後期 出産準備のためにここでも女性ホルモンが頑張ります。
なので、マタニティーブルーになりやすいのです。
産後数日~数週間
今度は母乳開始の時期になりますね。産後は個人差もあるので日数は言えませんが、半年以上も続くのであればこれは「産後うつ」になっていると思ってください。
◆なりやすい人と環境
・真面目な方
・環境の変化についていけない方
・地域に馴染めず、近くに相談する相手・友達と呼べる人がいない方
・実家が遠距離の方
・旦那さんの帰りが遅くて家事も育児も一人で行っている方
これらの方が必ずしもマタニティーブルーや産後うつになるわけではありませんが、なりやすい状況にあるということです。
よく、「妊娠を楽しもう」「育児を楽しもう」「趣味を見つけてみよう」などとポジティブな姿勢を保つように言われますね。
でも、そんな風に思えない、どうしようもない方だっているわけです。
筆者も性格をいきなり変えてポジティブに妊娠や育児を楽しめれば、マタニティーブルーや産後うつにならなかったでしょう。
なりたくてなっている方なんていないですものね。
ここで筆者の対処法をご紹介します。
・寝たいときに寝る。妊娠中はお腹が大きくなるにしたがって寝苦しくて寝不足気味になり、産後は夜中も授乳があると思うので、とにかく寝ましょう。
イライラしたり、症状が出ている時は、赤ちゃんと一緒にお昼寝したりして気持ちを落ち着かせましょう。
・ご飯は食べたいものを食べる(でも、母乳が出る時は野菜中心の鍋や野菜炒めなど)
・やる気はなくとも、家の中からでも日光に当たりましょう。症状が出ている時って日光にも当たりたくないので、その時は空を眺めるだけでもOK(日光浴しながらお昼寝タイムOK)
・家の掃除は3日に1回でも大丈夫です。余りにも症状がひどい時だけは筆者の旦那さんが、休みの時にやってくれましたが、症状が出ているとやる気が出ないと思います。もしくは「赤ちゃんにとっての環境を整えなきゃ」となるかもしれません。症状が出ている時はとにかく、手を抜きましょう。
・旦那さんが協力的な方でしたら、旦那さんが休みの時は、1時間でもよいので赤ちゃんから離れて一人の時間を作りましょう。
(筆者は赤ちゃんが寝ていても初めての育児にはどうしてもわが子が目に入って「私がこの子から離れたらダメ!」って思ってしまいました。だから、産後うつになってしまいました。30分でも1時間でも良いので気持ちをリセットしてください。)
・「やらなきゃ!」ではなくて「出来る時にやろう」です。
妊娠中や産後は体がだるいのが当たり前です。なるべく母体にストレスを与えないように気持ちにも余裕を持たせて下さい。気持ちにやる気が出てきたら、そこから妊娠前の生活に戻れば良いのです。
・お弁当を作らなくてはならない方は、なるべくレンジでチンできるものを効率よく使いましょう。
いつもはお手製で冷凍食品を使わなくても、この時期だけは、手抜きをしましょう。
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まとめ できないことは無理にしない
マタニティーブルーや産後うつになりやすい人って「自分はならない!」「育児とは!」など真面目に全力で取り組みすぎて気持ちが疲れちゃうんですよね。
だから、育児日記に「この寝顔に癒される~」とか書く余裕なんてありませんでした。
赤ちゃんの尿量や回数など書き込むときにも、これで良いのだろうかと毎日、不安でした。調べてもどれが良いのかなんて分からないから余計に混乱してしまい、当時は本当にきつかったです。
自分では病気になるほど真面目だとは思いませんでした。下の息子の時も産後にマタニティーブルーになりましたが、1ヶ月くらいで改善されました。
とにかく、育児って人それぞれ!「こうあるべき」なんて考えない方がいいです。
出産は誰でも不安です。いろんな情報で混乱するよりも信頼できる1人に相談しましょう。
筆者は経験豊富な保健師さんに色々相談しました。
マタニティーブルーが続いている、あるいは産後うつかなと思ったら、まずお医者さんに相談してください。
これらの症状は心療内科が専門ですが、ちょっと行きにくいなと場合は、産婦人科の先生に診てもらっても大丈夫です。産婦人科でも妊婦さんや産後の方の心のケアにも取り組んでいますから。
あなたは一人ではありません、必ず誰かが、あなたに手を差し伸べてくれます。絶対に一人では悩まないでください。
孤独を感じた時、辛い時、私は市や町の職員の方に話を聞いてもらいました。どんな方でも構いません。話を聞いてもらいましょう。泣いても良いんです。辛い時、苦しい時は、吐き出してください。一人でも多くの方が癒されますように。