知人の葬儀が立て続けにあったりすると、色々なことを思ってしまいますね。私も、いつか必ず自分にもやって来る、その日のことを考えてしまいました。
最近は「終活」という言葉がよく聞かれるようになりました。
人生の最期の日を迎えるための準備をすることですね。
元気なうちに自分の葬儀の方法を決めておいたり、お墓を準備したり、自分の遺品となるものを整理しておいたりする人が増えているのです。
その終活の中で、自分の希望や情報を書き記しておく「エンディングノート」が注目されています。
自分が亡き後、家族が様々な手続きをする際、判断に困ることのないように、必要な情報を残しておくわけです。
今回は「エンディングノート」について探っていきたいと思います。
エンディングノートとは?
エンディングノートとは、万が一、自分の身に何か起きた時に家族に伝えておきたいことをまとめておくノートです。
ただ、遺言書のように法的な拘束力はありません。
でも、そうなると、「エンディングノート」をわざわざ書く意味ないのでは、と思う方がいるかもしれませんが、そんなことないのですよ。
例えば、
・故人はひっそりとした葬儀を望んでいたのに、家族は盛大な葬儀を行なってしまう、
・故人の親しかった知人・友人関係の連絡先が分からない
・預金通帳の場所や不動産関係の手続きの方法が分からない
などといったことが避けられます。
エンディングノートには、自分しか知らないことなどを、家族が分かるように残しておいて自分の思いを伝える役割があります。遺言書には書ききれないことをエンディングノートで補うのです。
◆いつ書けばいいの?
エンディングノートをいつ作成するかは自分次第。何歳で書くものという決まりもありません。自由です。
1年に1度読み返して、書き直すのが良いと思います。書きもらしていた情報に気付くこともありますし、考えが変わることもあります。(誕生日や元旦・記念日など区切りの良い時などに書くのがおススメです)
◆どこで手に入れる?
1冊1000円位から書店やネットで売られています。
書店に行くのが嫌だな・・と思ったらネットでダウンロードすることも出来ます。
ちなみに筆者は、普通のノートに書き込みしておきました。(100均ノートです)
くどいようですが、1点だけ覚えておいてもらいたいのは
エンディングノートは遺言書とは違って法的な拘束力が無いということです。間違えないでくださいね。
遺言書とエンディングノートの違いは?
遺言書とエンディングノートは、どちらも自分の意思を書くものですが、それぞれ役割があります。その違いを見てみましょう。
・遺言書
本人が亡くなった後、法的効力がある。
基本的に遺言書に書かれていることが実行される。
・エンディングノート
本人が亡くなった後も法的な効力はない。
エンディングノートに書かれていることを家族は尊重しますが、
実行されるとは限りません。
書き方
・遺言書
所定の書き方があり、規定に沿った書き方ではない時は無効になることもある。
ですから、遺言が内容通りに実現できるように、まず行政書士に相談して遺言書の文面を考えてもらい、それから公証役場で遺言書を作成するのが良いでしょう。
・エンディングノート
自分の好きなように自由に書けます。別に遺言書を作成してある場合は、そのことをエンディングノートに記載するのがよいです。
費用
遺言書
遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
・自筆証書遺言(本人がすべての文章を書く場合) 費用は数百円~。
費用はほとんどかかりませんが、勝手に内容を書き換えられたり、紛失したり、隠されてしまうなどの可能性があります。
・公正証書遺言(公証役場で公証人に作ってもらう場合) 費用は数万円~。
こちらは、原本を公正役場で保管するために、遺言の内容を書き換えられたり、紛失したりという可能性がほとんどありません。
費用はかかりますが、遺言書を作成するのなら、公正証書遺言が良いのではないでしょうか。
・エンディングノート
「エンディングノート」と言われるノートを買った場合、1000円くらい~。
※よく使われているエンディングノート
↓
コクヨ 【エンディングノート】(もしもの時に役立つノート) |
内容
・遺言書
本人が亡くなった後のことについて書く。
財産分与の方法・子供の認知など。
・エンディングノート
本人がまだ亡くなっていないときのことも書ける。財産分与・管理・介護や葬式等、自分が亡くなったとき、やってもらいたい事について。
遺言書と同じ場所に保管しておけば、残された家族は迷うことなく落ち着いて、葬儀などを行えるのではないでしょうか。
何をどう書けばよいの?
では、エンディングノートに何をどう書いたらよいのか、具体的に見ていきましょう。
エンディングノートは、万が一、自分が亡くなった時や自分で意思表示ができなくなった時に、家族にどうして欲しいかなどを書いておくものです。
葬儀の内容・知らせてほしい人・相続の内容などを自由にノートに書いて保管しておきましょう。
いざという時、家族や喪主となる方がエンディングノートに書かれている内容に基づいて行動してくれるようにするわけですね。もちろん、家族にお願いすることばかりではなくて、知っておいて欲しいことも書いてください。
形式なんていらないので、本当に自由に「自分がいなくなった時にはこうして欲しい」だけではなく、「自分はこんなことを考えてきた」「私にはこんな過去がある」「私が行なった○○は反省している、でも△△は誇りに思っている」ということを書いてもOKです。
書店には分厚いものから薄いものまで様々なエンディングノートが売られています。どれにすればいいのか分からない方は、まず普通のノートに書いてみてはいかがでしょうか?
最初は下書きのつもりで、思いつくままに書いていけばよいのです。書いていくうちに、あんなことを書こう、こんなことも書こうと色々なアイデアや項目が浮かぶようになります。
自分が納得いくように何でも書き込んでみて下さい。(何が思い浮かぶか分からないので・・)
一通り書き終わった時、やっぱり「エンディングノート」としてキチンとしたノートにしたいと思ったら、その時に新たに「エンディングノート」を購入してみても良いですね。
そして、毎年、エンディングノートを読み返して、過去の自分はこんな事を考えていたんだな、と振り返りつつ、エンディングノートを新しく真剣に書き直してみましょう。考えや想いが微妙に変化していると思いますよ。
鉛筆で書くと書き直されたり、消えてしまったりする危険性があるかもしれないので、ボールペンや万年筆で書いておけば安心ですよね。
エンディングノートに書く内容の具体例です。
(例えば、薬や装置で生かされる延命治療は望んでいないことなど)
・今後、家族にはどうしてもらいたいか?
・葬儀や埋葬方法について
・連絡をしてもらいたい人達のリスト(会社・友人・親族関係者等)
・自分の思い出・家族との思い出
・学校・幼稚園・自治会関係などの情報
・お金関係(不動産・保険関係・株式等)の書類などについて
・たまにしか使わないモノの保管場所について
・趣味で集めた品の扱い方について
・自分が飼っているペットの扱い方について
・今の気持ち・感謝のメッセージ等
※エンディングノートについて分かりやすく説明している動画です。
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まとめ エンディングノートで人生を振り返る
エンディングノートって、あまり気分の良いものではないと考えてしまうかもしれませんね。でも、いつどこでどんな風に亡くなるかなんて、誰にもわかりませんから、そんな時に備えておきたいわけです。
突然亡くなってしまったら残された家族は、慌ててしまうでしょう。
特に大黒柱の方・家事育児の一切を任されている方が亡くなってしまうと大変です。
あなただけが知っていて、家族の方が知らない情報などをリストにして書いておくと、とても役に立つと思います。家の中のことなのに、ふだん使う人以外は、どこに何があるか知らないことも多いですから。
もちろん重要書類の保管場所などはエンディングノートには必ず書いておきましょう。
エンディングノートを書くという作業は、自然と、今までの自分の人生を振り返ることになります。
永い人生です。反省すべきこともあれば、大いに喜ぶこともあったと思います。
そんな色々な時間を振り返りながら、また明日からどんな風に生きていこうかと考える、貴重な時間を作ってくれるのがエンディングノートのもう一つの役割です。
もしかしたら、まだ自分にはあまり関係がないと思っているかもしれませんね。でも、「備えあれば憂いなし」です。